| とんとんと木枯らしの杖の音ひびき落ち葉連れ去る花いちもんめ |
ピシーンと闇夜に高き声を聴き星渡る空は澄みて呼ぶ冬 |
身のうちの覚束なしと雁が音の消えゆく空に耳をすましぬ |
ふたたびのときのめぐりに君が名をつぶやく窓には陽ざし穏しき |
虚と実の狭間にあってただじっと夕陽背にした窓の夕焼け |
抜け殻は送る季節の思い出の形のままにそこに残れり |
澄み切った空の蒼にも癒されず散るあかい葉に別れを告げる |
かさこそと落ち葉は道の端にころぶ返しの風に薫り留めて |
| いくたびも昨夜の寝覚めに祈れどもつれなき人の心は見えで |
| なかぞら |
| 思いやりひとつ残して感情をこの中天に捨てられまいか |
| 目に映る銀杏もみじの黄葉の美しささえ胸に余りし |
| ぼつねんと加護されずある身ひとつに銀杏降りしき秋風も往く |
| この道は誰が描きし道なるや紅葉舞わせて木の実落としぬ |
| 踏み迷い途切れし道も谷風の通うと知りて紅葉色づく |
| この胸に呼び返したき君なれば秋更けぬとに祈り綴りぬ |
| カオス よ |
| 混沌より脱け出さんとしてもがきおり水はしずかに身のうちに揺る |











| 苦しみを取り払わんとひざまずく神の試練と光は降りぬ |
なみだ目で見つめるものは反転す欠けゆく月は満ちくる闇に |
| 天上の妣へと送る大輪の花に隠した少しの弱気 |
| つまづきて芽生えし弱気立て直す涼やかに薫る花野をゆきて |
| 広き野の小さき花に風わたる影のかさなり命をつなぐ |
| 口もとに笑みをたたえて咲く芙蓉やさしき色は胸処を染めて |
| 組み合わす手の隙間よりほつほつと祈りは天にすくわれてゆく |
| はかなきは東雲草の朝の露ただに見守る安らぎとして |
