ぎおうじ みたま
祇王寺の御霊の影は吉野窓生きてゆくものなべて愛しと
あだしの
あざやかに緑あふるる夏は来ぬこの仏野の憂いをつつみ
添えられし石の仏の百合の花一輪のみの白さあつめて
あしひきの山懐に擁かれし石の仏に涼風流る
じきしあん
竹林の緑かがよう直指庵願いの絵馬は古木の枝に
まがこと
禍事のただようように呼ばれおり六波羅密寺ここを曲がれば
六道の辻から抜けて行く道を精霊は来ぬ残光の中
通り名をわらべごころにつぶやきぬ「まるたけえびす」京の横路
風立ちて水面に生れし水の綾君に待たるる心地こそすれ
いずれもが流るる水にて運ばれん まあるい小石を川原にひろう
いかつち
厳つ霊の縦横無尽に鳴りひびく照りそめし陽を抑えんとして
八重雨のふりぞまされる中にあり負いたる傷を流さんとして
一切の迷い断ち切る鐘の音まどかな風は古寺に立ちくる
やわらかに何をか告げん風立ちぬ精霊を呼ぶはや夜の秋
保津川の川面を染めしかがり火に潤む眼差し京ひとり旅
京 ひとり旅