時間薬
君思う色のみどりのカーテンの初夏のリズムに揺れる いとしい
いとしいとつぶやくことに照れもせずいつもひだりにあった温もり
ただひとつ踏み外してた階段に気づかず日月送った あわれ
進みたいふたりの道はときどきに交わり並びくねり離れる
ああ うん と意思を持たない音のして会話の立たない日が増えていく
沈黙の是非可否当否寄せ返す 息苦しさは危険の水位
おさめてる想いのあまた「わたくし」という器のほどを量っているの?
横に振る強さは持たず挙げた手でまたねを言ったわたしの憂鬱
人に寄せ憂いと書けば優しさと言い聞かせてはウソ笑いする
添うことはないわたくしをつまと呼ぶ「具」とも「端」とも当てはめて聞く
こころにはいびつな棘が刺さってた でも へっちゃらと毒を吐く夜
早口に罵ることばカプリチオ取り残された疑心をはらう
つぶやいた短歌にイイネを押すあなたやさしさなのか鈍感なのか
はつ夏の風が泪を散らすだろう相聞歌などなかったことに
ひと肌の恋しい雨夜のノクターン指躍らせるくうを叩いて
別れ際「生きろ」だなんてうぬぼれを言うから笑えてしかたなかった
行き違う駅のホームに屈託のない笑顔見せ元カレになる
バンザイの形に咲いたキソチドリ八月の空に解き放たれた
コッツンと忘れどんぐり落ちる午後 トトロの森に消えゆくあなた
暗転の画面に覚えのある顔の速報流れる 消えゆく まさに
「最愛だった」と修辞を添えたサヨウナラこれより先はおまけの人生
かつて春 幾重に想いを残しつつ別れた人に寄せ花便り
嵐すぎ東京タワーの鮮やぎにきみに攫われた時間があった
ため息が肩を伝って転げゆく あの日あなたが放した肩を
背伸びしてあと五センチが届かないここまで歩んで来た日のように
慰めてほしいと思ったわけじゃない(泣) (笑)ツイート 特定多数へ
ヘテロたる得体をさがす旅にゆく ここからひとりとわかっていても
善と悪 優劣 美醜 及ばざる妬みの炎ふいっと吹き消す
俯瞰してきみは堪ええず風となり頬を叩くか逝きしのちにも
ふたたびをまみゆるはなきひとなりとおもわばやがて効く時間薬