菜の花 気ままに物語 第一弾
「デヴィ猫の恩返し」
2002.4.8.〜2002.7.8に書き上げました。
小学六年生記念作品として
第一章 出会い
ある春の日。あきは、本を片手に、アイスクリームを食べていました。
(おぎょうぎの悪いことです。でも、ここは目をつぶって・・・)
「ああ、お母さんまだかなぁ・・・・。」
そうです。あきは、かぎっ子なのです。
あきは、ちょっとつまらないので、外に出かけていきました。すると、
「にゃぁーおぅ。」
傷だらけの猫が横たわっていました。
「わぁー、どうしたの?!傷だらけじゃないの。すぐに手当てをしなくちゃ。」
あきは、必死で家に向かいました。
「バンソウコ、バンソウコ。・・・あっ、バンソウコはくっついちゃうじゃないの。
・・・えーっと、包帯包帯ーーーー。」
なにやらかにやらしながら、やっと包帯を見つけて、手当てをすることがで
きました。そして、猫は一命をとりとめました。(ここは、大げさに書いておこう)
「お前は、なんていう名前なの?」
答えるはずもないと思いながら、あきは、猫に話しかけました。
「デヴィ猫にゃ!」
「!」
「ねっ、ねっ、猫が、猫がしゃべったーーー!」
しかも、続けて、
「まるまってこたつでひざをかかえるよデヴィという猫帰って来ました・・・
ごろにゃーあご。」
といきなりリズムをつけて歌いだしたのです。
「!」
「あの・・・・・???」
「短歌にゃ!」
「短歌?とか、そういうことじゃなくて、どうして話せるの?」
「ぼくは、短歌の神様、デヴィ猫にゃ。」
「短歌のかみさまーーー。」
さあ、何だか大変なことになりそうです。
第二章 だいだい色のお洋服
「・・・で?」
「何がニャ?」
一応、猫でもお客様(?)ということで、お茶菓子を出したあきは、まだ状況が
のみこめずに、ぼー然としていました。
「だから何!短歌の神様?
そういう猫いるわけないじゃないの?」
「ここにいるのだから、しょうがないのじゃないのかニャ」
お茶菓子をパクパクたいらげて、猫・・・じゃないデヴィ猫は、言いました。
「夢じゃないデヴィという猫ここにいる 偉大で素敵な歌の神様」
「またぁ・・・・」
自分のことを素敵なんて歌っているデヴィ猫に、あきはあきれてしまいました。
(あはっ、これも、シャレじゃないですよ。)
「あのさぁ、別に短歌よむだけなら神様ってことじゃなくてもいいんじゃなぁーい?」
「フッ、よくぞきいてくれたニャ!
コレからがすごいところなのニャ!
ニャんと・・・アキの明日を教えるニャーーーー」
「・・・・ふーん。当たらなかったら?」
あきは、大して関心もありません。
「100パーセント当たるニャ」
「あっそう。」
うわの空。
「当たったら、ここで暮らすニャ」
「勝手にどうぞ」
冗談じゃない・・・なんて思いながら、夕食のしたくをはじめたあきでした。
その夜。
「あき・・・・あき・・・・」
「ん?なに?」
「ぼくニャ」
「なんだあ、デヴィ猫かぁ」
「そろそろ予言するニャ」
「・・・まだそんなこと言ってるの?」
「いくニャ。
素敵だねだいだい色のお洋服鏡にむかってにっこりピース」
「へへ、私、だいだい色のお洋服なんて持ってないよ。
いいの?
ふふふ」
「かんぺきニャ」
「ふーん、じゃ、おやすみーーー」
あきは、深い眠りについていきます。
第三章 ひとつ屋根の下
次の日、いつもなら早く出かけていくお父さんもお母さんも、きょうはお仕事が
お休みでした。
「きょう、みつこおばちゃまが来るわよ」
「本当、うれしい!」
あきは、みつこおばちゃまが大好きです。
「ピーンポーン」
「来たー」
ダダダダダ、・・・・ガラッ。
「おばちゃま、いらっしゃーい」
「あらあら、相変わらず元気ねぇ、あきちゃん」
きょうもやさしいおばちゃまです。
「あらっ、おばちゃま、その袋はなぁに。」
「ああ、コレね。あきちゃんに似合うかどうかわからないけれど、あけてごらん
なさい。」
「!!まさか!・・・だいだい色のお洋服とか・・・?」
「あらっ、当たりよ。どうしてわかったの?」
「ニャ・・・」
デヴィ猫は、玄関の前でニッコリ笑いました。
「・・・・うーーーっ」
デヴィ猫とあきは、ひとつ屋根の下で、いっしょに暮らすことになりました。
第四章 キャンディ
「きゃあ!なにするの!」
あきは大きなひめいをあげました。
「猫なのに!キャンディなんか食べないで!
もう、知らない!」
デヴィ猫は、あきがきょうのおやつにとっておいたキャンディを食べてしまった
のです。楽しみにしていたおやつタイムは、なくなってしまいました。
「まあ、そうカッカすることはないニャ。
おなかがはちきれるほど食べさせてあげるニャ。」
「えっ、どうやって・・・・。」
「まあ、見ててニャ。」
そういうと、デヴィ猫は、両手を天じょうに向けて、歌を歌いだしました。
「ふってきた お空の上からキャンディが あか あお きいろ なんの味かな」
「・・・・・」
「は・・・・空の上からふって・・・きた・・・・」
ばらばらばらばらばら・・・・!
なんとそこには、数え切れないほどのキャンディがふってきました。
「晴れのちキャンディ・・・・。」
「コレ、ぜーんぶあきのものニャ。」
「わぁー、ホント?やったぁー!」
あきは、おどろきながらも、うれしそうにキャンディを食べました。
「これがホントの晴れのち飴・・・・なんちゃって・・・・」
第五章 事件のはじまり
「はあーー、なんかひまだなあ。」
「同じくニャ・・・・」
あきとデヴィ猫は、いつものように(笑)、だらけた様子でいました。
これから、大変なことになるなんて知らずに・・・・。
「何かすごいことでも起きたらニャ・・・・」
「バン!」
ドアが勢いよく開きました。
「あっ、あきちゃん!」
お母さんです。その格好をみると、お仕事のとちゅうだったのでしょう。
とてもあわてた様子です。
「落ちついて聞いてね。」
「お母さんが、おちついたほうがいいよ。」
「あっ、そうね。みつこおばちゃまが発作を起こして・・・・。 今、手術室に入ったらしいの。」
「えっ!」
数日前まではあんなに元気だったのにと、あきは思いました。
そして、急いで病院に向かいました。もちろん、デヴィ猫も一緒です。
あきは、病院に着くまで、
「おばちゃま、おばちゃま・・・・・
神様お願いおばちゃまをお空に連れて行かないで・・・・。」
と、くり返しくり返し、お心でさけびました。
デヴィ猫は、ずっとだまったままで、あきの横顔を見つめていました。
「・・・・・」
病院に着きました。ただただ、手術室のドアを見つめていました。
「ガーーー」
ドアが開きました。
お医者さまは、
「一命は取りとめました。でも、まだ、危ない状態です。
いつどうなるかは・・・・わからない状態です。」
「・・・・・」
あきは、口を押さえて、ぐっと叫びたいのをこらえました。
そして、デヴィ猫に、
「ねぇ、おばちゃまの病気・・・治して。デヴィちゃんなら、簡単でしょう?」
「でも・・・ニャ・・・でもニャ・・・。」
「ねっ、一生のお願い・・・何でもするから・・・」
「でも、短歌猫界では、おきてをやぶることになるニャ・・」
「お願い・・知られなければ大丈夫でしょ。」
あきは、半ベソをかきました。
「・・・・わかったニャ。やってみるニャ」
さすがのデヴィ猫もまいってしまったのでしょう。
「ありがとう、大好きだよ!デヴィちゃん」
あきは、デヴィ猫をギューっとだきました。
「ニャ・・・・。」
デヴィ猫は、それをふり切って、外に出て行ってしまいました。
「な・・・せっかくギューしてあげたのに。」
あきは、少しムッとしながらも、今は、デヴィ猫にいっぱい感謝の気持ちです。
そして・・・・
第六章 ささやき
「ねえ、デヴィーーー。
どうしちゃったの?!」
あきは、デヴィ猫を追いかけながらさけびました。
あの事件から、デヴィ猫は、口をきいてくれません。
おばちゃまの容態は、変わらずにいます。
「ねぇ、デヴィちゃん。
みつこおばちゃまの短歌をよんでくれる?
きょう、ちょうど、お見舞いにいくのよ。」
あきは、デヴィを連れて、病院へ行こうとしていたのです。
デヴィ猫は、やっと顔を見せました。
あきは、ホッとしました。
「行こう!」
あきは、デヴィ猫の顔を見て、嬉しくて嬉しくて飛び上がりたいほどでした。
そして、ふたりは、病院に着きました。
キィーーー。
「みつこおばちゃま・・・・。」
そこには、酸素マスクをつけて寝ているみつこおばちゃまがいました。
「ほら、デヴィ・・・は・や・く・・・」
あきは、小さな声でいいました。
「ニャ、
日の光
あなたのひとみに
映るよう
元気になると
祈っているよ」
「・・・・」
あきは、じっとみつこおばちゃまを見つめました。
すると、しばらくして、みつこおばちゃまは、目を開いて、
「あら、あきちゃん、・・・・わたし・・・どうしたのかしら・・・」
と言いました。
そばに、ずっと付いていたあきのお母さんは、大急ぎでお医者様を呼びにいきました。
「デヴィーーー、ありがとう!」
あきが振り返ると、
そこに、
デヴィ猫の姿は・・・・
ありませんでした。